隠れキリシタンの貴重な遺物の宝庫、「邪宗門 世田谷店」
各地に何店舗かある「邪宗門」がチェーン店ではないというのは、以前から聞き及んでいました。
今回インターネットで調べたところ、邪宗門グループのホームページが見つかりました。
起源となった店は国立にあった「邪宗門」。元船乗りで手品師でもあるというマスターに心酔した仲間たちが、各地で同じ名前の喫茶店を始めた、ということです。
各店の店主は「門主」と呼ばれます。門主になる為の鉄の掟というのがふるっています。
「儲からないこと」「手品師であること」この二つ。
下北沢から徒歩10数分の住宅街にある「世田谷 邪宗門」も、どう考えても儲けることを放棄した立地です。
レトロ喫茶のブログの取材とお伝えすると、大抵最初は警戒されるのですが、段々と口を開いて下さるということが多いです。
ところがこちらのマスターは、最初からサービス精神満開で、色々なものを出してきて下さったり、お話を聞かせて下さいました。
それも私だけでなく、どのお客様に対してもそうなのです。
カトリックの私が何より興味を抱いたのは、隠れキリシタンの遺物である貴重な踏み絵やマリア観音、高札、墨壷の蓋の裏に彫られたキリスト像、キリシタン大名の十字架を象った刀の鍔、などでした。
他にも火縄銃や無数のランプやアンティークカメラなどが店内をぎっしりと埋め尽くしています。
奥の部屋にある蓄音機やジュークボックス、奥様の七宝や押し花などの作品、マスターの美空ひばりや古いマッチのコレクションなど、色々と見せて解説して下さいました。
おまけに蓄音機で美空ひばりさんのレコードをかけて下さいました。
ジュークボックスもまだ鳴るそうですが、針がもう入手できないのでほとんど音を出すことはしないのだとか。
北原白秋の処女詩集から名前が取られただけあり、文学者が多く住居している町ということもあってか、森茉莉、萩原朔太郎・葉子、最近だと吉本ばなな、山崎ナオコーラなどの文学者も常連に多く、どの席が定席だったかなどのお話も。
店内は昔ながらの喫茶店らしく、全席喫煙可。
注文は、お勧めメニューのあんみつコーヒー(800円)と、オリジナルブレンド(520円)を。
黒蜜の代わりのコーヒー、確かに不思議とあんみつに合います。私は更にミルクをかけた方が好きかな。
オリジナルブレンドは日本製と思われるウィロー・パターンの厚手の陶製カップで出てきます。
苦味と酸味が共に効いていて、濃いコーヒーがお好きな方にはお勧めです。
帰り際、お店のマッチを使って、マスターは手品も披露して下さいました。
門主の名に相応しい鮮やかなお手並みに喝采し、再訪を誓ったのでした。
※邪宗門 世田谷店
住所:東京都世田谷区代田1-31-1
電話番号:03-3410-7858
営業時間:9:00~18:00、木・不定休
URL:http://jashumon-setagaya.la.coocan.jp/