老舗ロック喫茶「B.Y.G」の地下では、今夜もライブが

2020/2/26 渋谷

渋谷の名曲喫茶「ライオン」に行く時、いつも気になっていた隣の建物。
「ライオン」に負けず劣らず古色蒼然とした、蔦の絡まる石造りの洋館です。

丸いアーチ状の扉や、とても高い色ガラスの窓から透けて見えるシャンデリアが気になりつつも、扉にびっしりと貼られたステッカーやショッピングピンクの看板の感じから、一見さんには敷居の高いロックバーとかなんだろうな、と入る機会のないままでいました。

ところがある日、私がレトロ喫茶のライターをしていることを知った、お世話になっている画家の方から、紹介したいアンティークな雰囲気のお店があるから行きましょう、とお誘いがあったのです。
紹介がないと入りづらいお店なのかな？と思いながら場所を調べると、なんと、あの気になっていた建物ではないですか。

入ってみると、中は外観と同じく歴史を感じさせる佇まい。
広々とした1階の客席の壁には、出入りしたミュージシャンのものと思しきサインが所狭しと書かれています。

メニューはお酒が充実しているものの、ソフトドリンクやフードも豊富ですしチャージも掛からず、普通に飲食店として利用できそう。
その日は取材する予定ではなかったので、オーナーさんに紹介だけして頂き、後日改めて伺うことに。

その後訪れるも、午後早い時間はやっていなくて、夜にライブに行く予定の日にやっと再訪。
入口に貼ってあるスケジュールに「裸のラリーズ」「頭脳警察」など面識のあるバンドの名前を見つけました。
が、日付が6月になっています。
店内にお客は私だけ。スタッフさんに取材のことを告げると、「オーナー呼んできます」と仰って下さいました。
流れている音楽は、オールディーズのロックです。

注文したのは、コーヒー(500円)とガパオライス(850円)。

コーヒーは、バーなどで頼むとよく出てくる、苦味が強めでちょっと油っぽい感じのコーヒー。

ガパオライスは、塩味は控え目ながらバジルが利いていて、美味しかったです。
お食事の終わる頃オーナーさんがいらして、改めてご挨拶。
「地下も明かりを点けておきますので、ご自由にどうぞ」と仰って頂けました。

「B.Y.G」の店内で私が特に気に入っているのは、螺旋階段。
手摺は優美な曲線を描いていて、支柱の代わりに美しい葡萄模様の透かしが施されています。

2階へ上ってみて、驚きました。
二つに区切られたフロアには、テーブル席だけでなく、密談にぴったりのソファ席や、まったりできそうなお座敷席など、バラエティに富んだ座席が設えられています。

次に、地下のライブホールへ。

ステージにはアップライトピアノとドラムセット。

それを取り囲むようにテーブル席があり、更に段差があって、少し高い位置からステージを見下ろせるようになっています。

キャパは80席程とのこと。
コンクリート打ちっぱなしのライブハウスに見慣れた目からすると、ウッディな雰囲気がとても心地良いです。
左右の壁には、出演したミュージシャンたちの写真が入った小さなフォトフレームが、びっしりと飾られていました。

1階のキャッシャーの向こうにはターンテーブルがあり、棚にはLPとCDがぎっしり。

対応して下さった店長さんに全店の席数を尋ねると、210席とのことでした。
遅い時間になるほど賑わって来るそうで、その言葉通り、徐々にお客様が入ってきています。

ライブはどの位やっているのですか？と聞くと「月によって違いますね。全然空いている月もあれば、週3日くらい入ってる月もあります」と仰います。
あれだけのスペース、そんなに空いてるなんて勿体無い、とつい思ってしまいました。
扉に貼ってあったスケジュールは、昔のものとのこと。
出演バンドは、オーナーさんがオーディションで決めているそうです。
ご興味のある方、問合せてみては如何でしょう。