古き佳き時代を偲ばせる「リリー」は、住宅街の憩いの場
石神井公園へは随分前に、友人たちと撮影しに行ったことがあり、その時に駅前のレトロ喫茶に入ってスパゲティグラタンを食べた記憶があります。
その喫茶店もとても良い雰囲気のお店だったのですが、残念ながら調べても出てこないので、もう無くなってしまったのでしょう。
今回、石神井公園駅に用事ができ、レトロ喫茶を調べてみて出てきた「リリー」は、2階がブティックになっている半地下のお店とのことで、レトロ感にはかなり期待が持てました。
駅からは5分程でしょうか。商店街から少し入ったところにあり、人通りはそんなにない場所です。
鄙びた観光地にあるような古びた看板と、アーチ型の窓を発見!
折角の入口のウインドウも、申し訳程度のディスプレイしかされていません。
扉を開けると、地下へ降りる数段の階段。
店内は、窓からの柔らかな光で満たされています。
年配のセンスの良いマスターが立ち上がり、「そちらのお席へどうぞ」と勧めて下さいました。
お水を運んできたマダムは私の着ていたコートを褒めて下さいました。やはり、かなりお洒落に敏感なのでしょう。
1963年(昭和38年)創業という店内の造作はなかなか凝っていて、カウンターも半円形なら、一段高くなっているフロアの反対側の天井部分もアーチ型です。
カウンターの上はちょっと乱雑ではありますが、良く言えば家庭的。
壁に掛けられたボードには「今日の定食」とあり、数枚の手書きの札が掛かっています。
シャケや赤魚、さんま開きなど、魚料理が充実しています。
気になりつつもあまりお腹に余裕が無かったので、コーヒー(460円)とトースト(350円)を注文したところ、マダムが「パンを買ってくるわね」と外に出て行きました。
近所のパン屋さんのパンが、朝には焼き上がっていなかったのだそう。
やがて、サイフォンで淹れた珈琲が運ばれて来たのですが、その美味しさにびっくり!
「舘」もそうだったのですが、定食屋さんのようなメニューを出す喫茶店で珈琲は期待できないな、と思っていると、その先入観を覆されることがままあります。
トーストもパンが焼き立てなのでしょう、とても美味しくて、焼き加減やバターの染み込み具合も絶妙。
壁には何枚もの絵画がかかっています。いずれも、名の無い画家のものですがオリジナルのようです。
BGMはノイズ交じりのラジオ。演歌や歌謡曲が流れていて、その辺りも鄙びた観光地のようでした。
まるでタイムトリップしたかのような、穏やかな時間を過ごさせて頂きました。
※リリー
住所:東京都練馬区石神井町3-29-5
電話番号:03-3995-9695
営業時間:10:00~20:00