浅草で最古?大きな窓ガラスのイラストが特徴の「COFFEE SHOP ペガサス」
こんにちは。ライター瑠璃です。
今回は第三回目となる「浅草特集」です。
創業1956年という老舗中の老舗の「ペガサス」さんへお邪魔してみました。
国際通り沿いにある喫茶店で、2階の大きなペイントがひときわ目を惹くので以前より気になっていました。
入口前のこの食品サンプルはやはり欠かせませんね。
ブレンドコーヒーとシナモントーストを注文しました。
ピザトーストが有名なのですが、ここ最近、甘いものブームの私はあえてのこのチョイス。
注文して食パンをカットし、トーストします。その間にコーヒーが運ばれてきました。創業時より変わらぬという味のこのコーヒーは優しい酸味と強すぎないコクで料理にも合いそう。
ほどなくしてシナモントーストもやってきました。
この生クリームの量!
ご心配なく。おそらく小食の方でもペロリといけちゃいます。
食パンのぬくもりで溶けたクリームが染み込んだパンもまた美味であります。
シナモンシュガーは香り高く甘さ控えめ。無論、コーヒーに合うことは言うまでもありません。
店内は手前6テーブルが禁煙、奥6席が喫煙となっていますが、仕切りがないためあまり禁煙喫煙関係ないそう。テレビが異様に大きいのは土日の競馬中継がどの席からも観戦できるようにでしょうか。
冷房の風が強く、ウェイトレスさん、何度も冷房をつけたり消したり。
電話ボックスを発見!公衆電話は最近入れ替えたそうです。(この前までピンクのダイヤル式公衆電話だったそうです。)
そんな話をウェイトレスの方を話しているとマスターがいらっしゃいました。
マスターは昭和10年の生まれで上野で食堂を営む家庭に生まれましたが、ほどなくて戦火を逃れるために集団疎開。戦後、戻って来た東京は焼け野原で自宅も食堂もなく、家族でバラック小屋を建てて、農家の方が地方から汽車で持ち込んだ果物を売るなどして生計を立てていたそうです。(いわゆる、闇市です)
その後、お父様が経営していた飴工場が廃業し、どうしようかという時にマスターが21歳の若さで喫茶店ペガサスをオープンされました。
その頃のペガサスは大変なお客様の数で「コーヒー1杯50円」「ミルクやソーダ水60円」の時代に1日の売り上げが50,000円、つまり1日に1,000杯も売れたそうです。
地上、中2階とフロアがあり、大きなシャンデリアがあり、ピアノもあったそうで、
昭和30年代の邦画を見るとそのような豪華絢爛な喫茶店がよく登場しますが、ここもかつてはそうだったのでしょう。
また、近くに「浅草東洋館」があります。「ツービートに水割り持って行ったりしたもんだよ。」「以前のオリンピックの時も規制がいろいろとうまれて、おまわりさんが店の照明の明るさをいちいちチェックしたり、そうそう、当時22時以降に飲み物しか出さないお店も規制されていたから、だから喫茶店は軽食メニューを始めたんだっけな」と昔を懐かしむマスター。
そして、現在の内装に変わったのは40年前。その頃から稼働している大型の業務用エアコン。「強風」しか出ないそうだが、まだまだ引退なんかしないさ、と強がっているようで愛着がわいてしまいました。
こんな逸話もしてくださいました。ウクレレ片手に「あ~あ、やになっちゃた~」で有名な牧伸二さんが「最後に飲んだ珈琲」がこのペガサスの喫茶店のコーヒーであります。このお店を出た後、牧さんは舞台を控えた東洋座には行かず多摩川へ。入水自殺。2013年4月29日のことであります。
60年以上にわたり喫茶店という空間で様々な人間ドラマを目にしたマスター。
「今はチェーン店にとって代わられて、こういう店は流行らないんだ」と自虐的に言いますが、その背中は齢80を超えているとは思えません。白ワイシャツに細身のリーバイスがよく似合っています。
一度、マスターと話してみるのも良いし、種類豊富なトーストで腹を満たすのも良いでしょう。レトロ喫茶に行ってみたいなと思う方は是非この喫茶店に立ち寄ってみて下さい。
(※こちらの喫茶店も「土日は競馬喫茶になって満席だよ」とのことなので、平日か事前にレース情報をチェックして来店することをおすすめします。)
おまけ
兄弟店は上野と銀座でJazzバー。上野店は水森亜土さんのイラスト入りで今でも歌いに来るとか。今度行かねば。
※COFFEE SHOP ペガサス
東京都台東区浅草3丁目1-10
03-3844-6963
営業時間 平日・土日祝 9:00~21:00
(モーニング 9:00~12:00)