名曲喫茶「でんえん」にて、音楽と絵画に浸って

2021/5/28 国分寺、国立周辺

1957年(昭和32年)の創業は、現在都内に残る喫茶店の中でも古い方ですが、それだけではないのはこのお店が名曲喫茶だということ。
といっても渋谷「ライオン」のように音響システムの素晴らしさを大々的に謳っている訳でもないのですが。
ずいぶん前に一度伺ったきりですが、今回近くに用事があったので、良い機会と思い、立ち寄ってみました。
「でんえん」という店名は、もちろんベートーヴェンの交響曲からの命名でしょう。

可愛らしい看板には「クラシックと絵　でんえん」の文字と共に、ポットとコーヒーカップの絵が描かれています。
吊るされた車輪やミルクポットも、どことなく田園地方の農家の庭先を、思い起こさせます。

中は薄暗く、壁には看板にあったとおり沢山の絵が飾られ、本棚や飾り棚が置かれています。

流れているのはもちろんクラシック。
但し、そこまで音楽が主張している感じではありませんので、構えずゆったり寛ぐことができそうです。
私は、飾り棚の横の席に座りました。

ロイヤルコペンハーゲンのカップの後ろに、ジャン・コクトーの絵皿が飾られています。
テーブルのガラス板の下にはコーヒー豆がびっしりと敷き詰められ、ステンドグラスのランプが柔らかな光を落としています。

女性スタッフがお二人いらして、高齢の方がマダムなのでしょう。
メニューはシンプルに、珈琲、紅茶、カフェオレ、オレンジジュース等数種類のみ。アルコールも少しあります。
自家製レアチーズケーキのケーキセット(800円)を、珈琲で頼みました。

ゆったりとした時が流れ、店内にいるお客様もまるでお店の一部のよう。

運ばれてきたコーヒーは、深みのあるお味。
ブルーベリーソースの乗ったレアチーズケーキは、すこしババロアっぽい口当たりでした。
静かなお店の雰囲気につい遠慮してしまいましたが、奥の方の絵もじっくり鑑賞させて頂けば良かったです。
このお店がいつまでここに存在できるのか分かりませんが、この時間を過ごすことができたことに感謝して、お店を後にしました。